2006年05月02日

烏子稲荷神社探訪記

【2006.4.28 烏子稲荷神社探訪記】
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 烏子(すないご)稲荷神社は高崎市内にあるその名の通り稲荷神社である。場所は高崎市中心部より北方に位置する上小塙町(かみこばなまち)にありその歴史は古く平安時代の783年に創建されたものだと言う。祭神は宇迦之御魂神、天照大神、スサノオノミコト、天神様の4柱で宇迦之御魂神と言うのが稲荷神であり天神様とは菅原道真公の事だ。

 この宇迦之御魂神、お稲荷さんは創建の際に京都藤ノ森神社より分霊されてきたと伝えられる由緒正しきものであり、創建以来今日に至るまで高崎市北東部の六郷・長野地区の鎮守様として崇められて来た。

 そして戦国時代には武田信玄公が箕輪城攻略の際に戦勝祈願の宿願を行いその縁で今もこの近隣には武田家の家臣の浦野家の子孫が住んでいるのだと言う、意外な所で出身県と縁があったものだと感じてしまった。江戸時代には徳川家より御朱印を与えられる等して現代までに至っている。


 烏子稲荷に訪れた時はもう一面が夕焼けに包まれている時刻で帰宅ラッシュで道路がそろそろ混み始めるそんな時だった。高崎市の中心街方面より自転車を漕いで北上し高崎環状線を過ぎて前を見ると寺と住宅の屋根の向こうにこんもりとした森が姿を現した。

 大体その位置は事前に確認してきた地図での位置とほぼあっていた事からあの森こそ烏子稲荷であろうと踏んで適当な箇所にて道から外れて脇道へ入ると、案の定森から南へ向けて両脇に木を生やした道が伸びておりそこには稲荷神社の目印とも言える赤い旗が「烏子稲荷神社」と白抜きで描かれて幾つか立っている姿が見え参道である事は一目瞭然であった。

 そしてふと視線を逆の方向に向けるとなにやら銀色の巨大な物が鎮座している、その側面は何処か見慣れた形・・・何の事は無い、それは鉄道車両であったのだ。その時目的の稲荷神社に無事到達できた安堵感と共に意外な物を見つけたと言う驚きで心の中は沸き返った事は言うまでも無いだろう。もう西の空に太陽は大きく下がっていたがまだまだ時間はあると見え、稲荷神社に訪れる前にまずそちらの方を観察してみる事にした。

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 外からその車両をうかがって見る限りでは2両の客車でありレールと枕木も敷かれてその上に車輪がしっかりと載っている事、そして足回り等もほぼ完全な状態で残っている事だった。また車内は事務所兼倉庫として使われている様で雑然とはしているが殆どが現役当時の照明とボックスシートを始めそのままで残されているのが分かった。

 流石に方向幕については中身こそ外されてはいたもののガラスに傷は無くサボ受けもそのまま、銀色に塗装こそされているがここに運び込まれてから施された物らしくあの白帯が塗装の下から静かにその存在を主張していた。そして2両を繋ぐ貫通路も薄汚れているとは言え機能しており破損も見当たらず、何よりもその妻面に限っては青色20号の原色がそのまま残されているではないか。

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 そしてそこに書かれた表記より形式がオハ12であり、民営化後もJR東日本に引き継がれ最後の全検を平成4年5月に大宮工場で受けた後に廃車となった事は分かったものの、その他には特に表記は見当たらずそれ以上の出自は不明であった。置かれている場所は運送会社の敷地内であり前述した様にそこそこ手入れはされて事務所等として使用されているようだから今後も末永く生きて欲しいものである。


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 さて話を本筋に戻すとその鉄道車両の終わる十字路が烏子稲荷神社の参道入り口である、十字路から100メートルほどの参道を進むと車が二三台置ける駐車場があり、その正面には鳥居と神社内の簡単な地図の他に幾つかの看板が立てられていてここが活気ある場所である事を示している。そしてその西方には池がありその真ん中には弁財天が祭られていて、祭られている島までは橋が一本伸びていた。水を汲み上げている人の姿があったから田植えの際の用水池としても利用されているらしい。

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 自転車を傍らに止めて立ち入ると蛙の像が鎮座しており拝殿と本殿は目の前にそびえる丘の上にある。その間の狭い敷地には狛犬と車用のご祈祷所、身代わり達磨、社務所に神社の由来の書かれた案内板と日清戦争戦没碑が立てられていた。

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 時間が遅かったため閉まってはいたものの社務所の窓口の所には200円と100円のお御籤が置かれ、その後ろにあるガラス窓の向こうにはお札やお守りなどが値札が付けられておかれていたから昼間などに来れば営業しているのかもしれない。それらを一回り見ると早速階段へと足をかけた。

 赤い鳥居と石の鳥居をくぐった先の階段はそう急ではなく昔からの鎮守様と言う雰囲気が満載であり拝殿の威容がすぐそこに見えて取れる。中ほどを過ぎた辺りで再び狛犬と思しき物がありそのわずか上には稲荷神社の象徴であるおきつねさまの像が一対、堂々とした面持ちで登ってくる自分を見下ろしていた。

ここのおきつねさまはマズルが少し太い所が特徴的であろう、また下から見て左手のおきつねさまを背後から見るとちょうど木々の間から下界の様子が見えて静かに見守っている・・・その様な感じがしてどこか温かい気持ちになるのは自分だけであろうか。そしてそれを過ぎると拝殿が完全装備の整備された姿で待ち構えていたのだった。

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 拝殿付近の写真を撮っている間に現れて参拝を終えたおじさんの後を追って自分も参拝し右から裏へ回る。拝殿の右脇には神楽殿があるのが目に付くがその更に北側には天神様とそれこそ立派な白狐像の安置されたお宮とが置かれておりその傍らには無造作に山積みであるかのように無数の石造りの小さなお宮がそれぞれ白狐の像をつけて転がっていた。そして更に細い道が奥へと回り込むように続いていたので足を進めるとその先にはまたもや驚かされる物が待ち構えていた。

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 緩やかなカーブと勾配の細道を進むと道は唐突に分岐するのだがそれをわずかに通り越した箇所に丘の、つまりは斜め上に見えている本田の地下へ続くような石組みのトンネルが口を空けその入り口には金網が被せてあるが、奥は広くなっている様でどうにも不思議な存在である。

 一瞬狐塚かその類かと思ってしまったが視線を上げるとそこには看板が立っており、何とこの稲荷神社の建つ丘は6世紀頃に作られた古墳だと言うのだ。その名も神小塙稲荷山古墳として平成3年3月に高崎市の文化財に登録されている価値ある存在らしい。古墳と稲荷の取り合わせとはその力はかなりの物なのではないのだろうかとふと思えてしまった。

 そして思わずその穴にも手を合わせ、元来た道を戻り拝殿の前を横切ってお御籤を引いてから家路へとついた。

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【稲荷神社データ】
・烏子(すないご)稲荷神社

・群馬県高崎市上小塙町

・交通アクセス

・高崎駅→市内循環バスぐるりん高経大線(系統番号3・4)35分→上小塙市営住宅前→徒歩5分→烏子稲荷神社

※ぐるりんは全線均一200円

※バス降車後道なりに北上し大森保育園のある信号付き交差点を西へ曲がり、左手の運送会社の道路側に置かれている銀色塗装の鉄道車両が目印。稲荷神社は右手側のこんもりとした森に包まれた丘にある。

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posted by 冬風 狐 at 16:04| Comment(3) | TrackBack(1) | お稲荷さん探訪録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
始めまして猫又といいます。各地の稲荷神社及び狐にまつわる名所巡りをなさっているようなので、一応情報を書いておきます。
かなり有名なお稲荷さんで、3年前に私がちょっとだけ特異な体験(←あまり他の人は信じてくれませんけど)をしてから今までずっとお世話になっているお稲荷さんでもあるのですが、東京羽田に穴守稲荷というお稲荷さんがあります。場所は京浜急行電鉄の空港線の穴守稲荷駅のすぐそばです。よかったら行ってみて下さい。元々は今の羽田空港のある場所にあったらしいのですが、日本が戦争に負けGHQの統治下になったときにGHQが羽田空港拡大のために今の場所に退かされたそうなのですが、鳥居だけは何故か工事をするたびに事故などが起こり退かすことができなかったので現在はどうかはわかりませんが、最近まで羽田空港の駐車場内に鳥居だけ残っていました。ちなみに穴守稲荷神社のHPはhttp://anamori.jp/です。
Posted by 猫又 at 2006年05月02日 22:41
連続でコメント済みません。あと京浜急行で行く時の注意なのですが、飛快特と快特は穴守稲荷駅には停車しないのでご注意下さい。あと私もhttp://blog.livedoor.jp/h_nekomata/でブログを書いていますので、よかったら見てください。最後に稲荷神社及び狐にまつわる名所巡りの探訪記を書くの頑張って下さい。これからも読ませていただきます。
Posted by 猫又 at 2006年05月02日 23:11
 こんにちはそしてはじめまして、書き込みありがとうございます。
 占領軍を退けたお稲荷さんとしてその威力は有名な穴守稲荷については自分も興味を抱いておりまして、実を言いますと本来なら今日に前々から探訪しようかと計画していたのですが実家への帰省によって行けなくなってしまい残念に思っていたところです。明日には東京へ戻るのでもしかすると1日遅れで実現なるかと密かに考えております。
 自分は狐好きを端に発して稲荷及び狐名所巡りへと発展した訳ですからまだまだこちらの方では新参者です。こちらこそこれからもよろしくお願い致します。
Posted by 冬風 狐管理人 at 2006年05月04日 17:25
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