2010年10月18日

狐の街、王子装束稲荷の「装束ゑのき市」

【探訪日時】2010年10月16日
【場所】東京都北区王子装束稲荷神社
【交通】京浜東北線・地下鉄南北線王子駅、都電荒川線王子駅前駅より徒歩5分前後、JRバス王子停留所より徒歩3分

 王子は都内では比較的北の方に位置し、下町の一角を構成する活気のある地域。しかし京浜東北線が止まるものの高崎線や東北線と言った主要幹線が通過する事から、中々、地域以外の人が日常的に接する地名ではないでしょう。
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 むしろ王子と言うと王子稲荷を連想する人の方が多いのではないでしょうか。古くから中々知られているものですから、行った事の無い方でも聞いた事はあるかと思います。
 何より、少しでも歴史等に興味のある方であれば、広重の手によって描かれた浮世絵を浮かべられるのではないでしょうか。狐が集うその浮世絵とは「王子装束 ゑのきの木 大晦日の狐火」。今回はその浮世絵が大いに関係する、狐にまつわる縁日を取り上げましょう。
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 さて王子は前述の通り、王子稲荷の鎮座するお膝元であります。そして浮世絵の題名に「狐火」とある様に狐火が煌々と見えるほど狐が集う。つまり毎年年越しと新年の挨拶に王子稲荷へと、関東各地からお稲荷さんの使いとしての狐達が集まり、一同共にして王子稲荷に向かうとの伝承故に始められたのが「大晦日の狐火」ならぬ「王子狐の行列」です。
 これは毎年12月31日の大晦日に行われる年越しのイベントとして、江戸に伝わった上記の伝承を広く今に形となって伝える行事であります。狐のお面をつけた人々が灯した提灯を手にして王子の街を王子稲荷に向けて練り歩く、今ではすっかり風物詩として定着している、そんな行事です。
 そのスタート地点となっているのが縁日の舞台ともなる装束稲荷神社、王子稲荷とは鉄道線路を挟んでいる形であり、両者の間は徒歩5分ほどで行き来出来るほどの至近距離。しかし街角にあるその姿は、王子稲荷と比べると正にこじんまりとの言葉が似合うお稲荷さんであり、どこかホッとさせられる気配を漂わせています。そしてその由緒は古く、殊に王子稲荷を語る上でその縁を切る事は出来ない、極めて重要な存在であります。
 繰り返す形となりますが大晦日の「王子狐の行列」、そしてその元となった新年の挨拶に赴く狐達の伝承は王子稲荷はお稲荷さんの関東総司、となっている事にそもそも由来します。よって新年の挨拶ですから礼装で行かねばならないのは人も狐も同じこと、故に先の広重の浮世絵も、ただ新年の挨拶に関東各地より王子稲荷へ訪れるお稲荷さんの使いの狐達が、狐火を灯して集まっているに留まりません
 つまり絵の中に描かれている榎の大木、これは装束稲荷のご神木となっている榎でありますが、その根元にて身支度を、挨拶に相応しい装束を整えているシーンをも包括していると言えます。

 故に装束稲荷神社が「王子狐の行列」のスタート地点となっているのです。
 同時に行列自体には地域、王子の人々が主体となって伝承を継承する事を目的とする、つまりある種の町おこしの一躍を担う存在であります。そして今回ご紹介します、装束稲荷の縁日たる「装束ゑのき市」もその流れを汲むものであり、かつ目指して始められたもので、毎月第三土曜日に有志の手によって開催されています。
 なお自分がこの度、こうして接する事になったのも前回取り上げました「みのわの里の狐の嫁入り」にて、撮影等でお手伝いをさせて頂きました「王子 装束ゑの木 狐神楽」の皆様が、その運営に強く携わっている為です。故に縁あっての機会と言えますのでその事も踏まえつつ、先の17日にありましたゑのき市のレポートをしたいと思います。
 
 ゑのき市はまだ始められて日が浅く、有志の手によるものですから縁日とは言え、その規模は極々小さなものです。
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 まずは2〜3店ほどの地元商店街有志による露店が挙げられます。今回は3店が並んで菓子や稲荷寿司や油揚げ、また赤飯や団子等を販売しており、購入した食べ物を鳥居の前に用意されたベンチに腰掛けつつ食せる用意もされていました。
 自分もその場で昼食も兼ねて頬張らせて頂いた口でありますが、その後も話を伺いつつふと眺めていると1人2人と立ち寄る人の姿が常にあり、中々の和んだ、そして程良い活気のある空気が醸し出されていました。
 なおこの露店の顔触れは毎度変わるとの事で、普段はうどん屋もあるとか。価格も150円や300円と中々お手頃価格で揃えられており、昼時の一服を吐くには最適な環境であると思えます。
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 他にも今回は普段は大晦日の時のみ販売される、狐面の販売も社務所にてされており5種類ほどの狐面が並んでおりました。

 露店以外では縁日の名の通り、神楽もあります。装束稲荷を訪れた事のある方であればふと合点が行くかもしれませんが、お社の隣の道路に面する榎のご神木、その左にある榎の絵の描かれたシャッターのある細長い建物。
 実はその中身は1階は社務所、2階はお囃子の舞台になっており、2階の舞台で奏でられるお囃子と共に面する路上で前述の狐神楽の皆様の手による神楽、狐神楽が演じられるのです。
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 最も今回は都合によりお囃子をされる方が来られず、お囃子に乗った神楽と言うのは生憎披露されず仕舞いでした。
 しかし時折、人の流れを見計らっては短く狐面をつけた狐神楽の方が軽く舞い、人々の注目を集めていましたし、同時に自分としてはそれだけ様々な話をお聞きする事が出来たのは、やや複雑ではありましたが幸いでもありました。
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 縁日の時間の方は10時から14時と言うのが基本的な時間ですが、時として15時や16時辺りまで露店が出ている事もあるとの事。
 今回は気候が落ち着いて来た事もあり、通りを行き交う人が多く売れ行きも好調で、14時ごろには用意された団子や油揚げは売り切れてしまい盛況の内に終わる結果となりました。ちなみに先月は余りの暑さに人通りが悪く、中々難儀したとの言葉にふと、今年の夏の尋常ではない暑さを思い返してしまいます。

 次回の開催は来月の第3土曜日、つまり11月20日となります。秋もすっかり深まっているであろう時期でしょうが、そんな昼時の散歩も兼ねて足を運んでみるのはいかがでしょうか?きっとのんびりとしたひと時が味わえるであろうと思えます。
 なお当日の模様に付きましては狐神楽代表をされています狐丸さんのブログ( http://blogs.yahoo.co.jp/consamano1/34287350.html )にも取り上げられていますので、あわせてご覧頂けるとよりその様子が分かるのではないかと思います。何とも楽しいものでした。
 末尾ながらお誘い下さいました狐神楽の皆様、並びに様々な話を聞かせて下さい商店街有志の皆様、真にありがとうございました。縁日のますますの発展を願いつつ、今後ともよろしくお願い致します。

 写真は6枚目のみ2006年7月1日撮影、それ以外は2010年10月16日撮影。
posted by 冬風 狐 at 02:54| Comment(1) | TrackBack(0) | 狐名所・イベント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
私は毎年大晦日に開かれている「狐の行列」の写真を撮り続けて「狐の行列事務局」に投稿していますが「王子装束えのき市」はいつ開かれているのか分からず写真撮りに行ったことがありません。
今年はいつ「王子装束えのき市」が開かれるのか知りたいです。Homepageがあるのならアドレス教えて下さい。
Posted by まさ at 2013年07月07日 10:49
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