2012年01月22日

東海道線を見守る来宮神社とお稲荷さん

【探訪日時】2011年11月5日
【場所】静岡県熱海市
【施設名・交通手段】
・来宮神社、来宮稲荷神社(境内社)
 伊東線来宮駅より徒歩5分、伊豆箱根バス来の宮神社前バス停スグ

 東海道線は新幹線に多くの機能が移ったとは言え、今尚、特に貨物輸送の点では日本の東西を結ぶ最重要幹線であるのに変わりはありません。
 その東海道線も国鉄時代であれば一体での運営がされていたものですが、今ではJR東日本・東海・西日本の3社に分割されており、近年では各社ごとに車両の置き換えが進んだ事から、見る場所によってその姿は全く違うものになっています。
 それを感じる事が出来るのが熱海駅と米原駅でしょう。前者はJR東日本と東海、後者は東海と西日本の境界駅であり、そこを境に旅客列車の車両は全く変わるもの。最近では跨いで直通する列車は数少なくなった事もあって、大抵の場合、乗換えを強いられるある種の関所化しているとも言えます。
 下の写真はその一場面(2011年12月16日撮影)で、東京発の下り電車(JR東日本15両編成)から浜松行の熱海始発下り電車(JR東海3両編成)へと乗り換える人でごった返すホームの様子になります。
PC160211.JPG
 その前者に当たる熱海駅は、これは熱海と言う土地自体が良く「神奈川県である」と勘違いされる事が多いものです。実際には静岡県であり、中部地方、あるいは東海地方に属するものの東京駅、即ち首都圏にして関東の中心たる駅から出る東海道線電車の多くが「熱海行」であるので、どうしても感覚的に神奈川県ないし、関東の一角と捉えがちなのかもしれません。

 東海道線は熱海駅を出ると丹那トンネルを通り、次に停車するのは完全に「静岡県」と認知されている函南駅となります。しかし米原駅にはない特徴が熱海駅の先にもJR東日本の路線が続いている事でしょう、そしてそれはJR東海となった東海道線と併走する形でしばらく続く、そうJR伊東線の存在がこの界隈の鉄道路線の特徴となっています。
 よって丹那トンネルに東海道線が入る手前には駅が1つ、それは伊東線来宮駅。東海道線と完全に並行していますが、東海道線にはホームが無いので伊東線の駅として伊東線の列車のみが止まる格好になっています。
 この来宮駅があるのは丹那トンネルと別のトンネルの間の狭い谷筋。故に通過していく東海道線からすると一瞬でしかなく、逆に丹那トンネルの長い闇から出た事に安堵する、そんな場所でもあります。なのでついつい注目が東海道線から見て伊東線側、つまり海側に寄ってしまいがちなのですが、実はその反対側に控えているものがあります。
 それが今回取り上げる来宮神社、この神社自体の歴史は古く、その由緒をたどると坂上田村麻呂の名前が出て来るほどであり、名実ともに古社であると言えるでしょう。
 なお詳細については神社の公式サイト( http://www.kinomiya.or.jp/index.html )が詳しく取り上げていますので、この記事では軽く触れつつ、探訪した時の事を中心に書いていきたいと思います。

 来宮神社に立ち寄ろう、と思ったのは帰省していた山梨から帰る際、9月の台風によって一部不通となっている身延線とその代行バスの様子を観察しがてら、更に三島駅にある東レ工場への廃専用線を見、そして時間が比較的あった事もあり、熱海界隈でふと途中下車をしてみようと思い立った為でした。
PB040372.JPGPB040366.JPG
 当初は丹那トンネル建設に当たって犠牲となった方を記念している碑や関連する神社へ行く事を考えていました。
 しかしそれにあたって地図で来宮駅付近を見ると、来宮神社と共にその境内にお稲荷さんの文字。こうなれば是非とも、との事で当初の計画では熱海駅から徒歩で、熱海駅から来宮駅の間にあるお稲荷さんに立ち寄ってから来宮神社へ行き、そして前述した丹那トンネル関連の神社を目的地として、来宮駅より電車に乗る、と言うものであった事を書いてかねばなりません。
 とは言え実際には三島駅北側の東レの廃専用線と近くにあったJR東海の研修施設の様子が気になり、予定していた熱海行よりも1本遅い電車になってしまったので、予定を変更し熱海駅より伊豆急下田行の伊東線に乗り込み、来宮駅に到着したのは13時34分の事でした。
PB040397.JPGPB040402.JPGPB040404.JPG
 
 時間的に余り余裕は無かったので、改札で乗越精算をした後は駅舎から見て左手へと進みます。歩道はあるのだが狭く曲がりくねった道、勾配もあるので何とも伊豆半島の道であると思いつつ進むと、坂になってからと言うものずっと高くなって続いていた左手の東海道線と伊東線の載っている擁壁にぽっかりと穴が、トンネルが姿を現します。
 今であれば四角い、如何にもコンクリートなボックスカルバートとなるのでしょうが、出現したのは石と煉瓦によって作られた2つのトンネル。高さ制限も兼ねてポータルの一部は変色し、一部は剥がれているも塗料が塗られている以外はこげ茶の石の色そのままで、そこには風雪に長年晒されてきたからこその色合いがうかがえます。
PB040410.JPGPB040412.JPGPB040413.JPG
 このトンネルの名前は来宮ガード、掲げられているJR東日本の設置した看板には「東海道本線(170)」とあり、起点から数えて170番目のガードである事が見れます。内部には一応歩道が設置されていますが、車道自体がトンネルの幅目一杯ありますから、ガードレールによるロスも考えれば人一人歩くので精一杯な程度しかありません。
 なおトンネルを抜けると今度は国鉄時代に設置されたと思しき看板があり、そちらには「来宮暗きよ」とあり、起点からの距離「105K633M58」と記されている他、隣には塗装される形で「観光地美化のため貼り紙を禁じます 熱海市観光課」の表記があり、青地であるのを踏まえるとかつて良く見られた青地の琺瑯看板を模していたのかもしれません。
PB040416.JPG
 何れにしてもかなりの年代物で、逆に言えば今では新規には見れない代物の1つでしょう。
 ちなみに抜けた所では擁壁と路面の高さはかなり縮まっています、これはガード内がそれなりの勾配になっている為ですが、それはガードを抜けても続いており、抜けた地点ではそのまま点滅信号型の交差点となっている等、不慣れなドライバー泣かせの場所なのかもしれません。またその上を擁壁の倍以上の高さで東海道新幹線の高架線が横切っており、そちらには「来宮BV 96K477M」の文字があります。

 この交差点は、クルマが入れるのは4方向しかないのですが、実際には五叉路。何故ならガードに面する形で鳥居、即ち来宮神社の参道とつながっており、そこにはクルマが入れない為です。
PB040415.JPGPB040421.JPGPB040420.JPG
 交通量は地味にあるので、良く見てから渡ると道路との間に川を挟む形であるのが、今回の目的地である来宮神社。なお渡ったところにはバス停「来の宮神社前」があり、その上には交差点標識もありますが、そこには鳥居のマークも記されている等、この交差点が来宮神社と一体の存在であるのを示しているとも出来るでしょう。
 ちなみにこの交差点を通る県道20号線は箱根峠に至ります、よってここを通過するバスは箱根方面とを行き来するバスですので、意外と長距離路線である、との特徴もあります。本数も昼間であれば毎時3本はありますから、比較的サービスレベルは高いでしょう。バス停の脇には来宮神社の案内の写真看板もあります。
PB040431.JPG

 そんな観察をしてから境内へ、橋を渡り、赤く塗られた鳥居を一礼してからくぐると中は相変わらず勾配が続いていますが、木々に囲まれてふとした暗さの中に明るさがある、神社らしい開放感のある空間になります。
PB040432.JPGPB040435.JPG
 そしてお稲荷さんは入ってすぐ、左手にある手水場の脇にその入口を持ちます。入り口は木と手水場に挟まれる形ですが、石に彫られた文字が赤塗りされての「来宮総社稲荷神社」の文字は何とも目立つものです。
 鳥居の数は人の背丈より少し大きい程度のものが3つほど続く具合、そして現れた社は本殿と拝殿が一体化している具合で、その両脇に狛狐がきれいな姿で控えています。形としては向かって右の狛狐が鍵を口にして子供を足元に置き、左の狛狐が巻物を口にして宝珠を足元に置く具合で、稲荷の象徴たる三品が揃っています。
PB040440.JPGPB040438.JPGPB040439.JPG
 社は赤塗りで手入れが行き届いており、何とも見ていて清々しい気持ちになるものでした。幾らか千羽鶴が掲げられていたりもしていたものです。また内部には大太鼓が置かれていました。なお境内には表記はありませんでしたが、公式サイトの記述によれば「来宮稲荷神社」と言うのが正式な名前との事です。

 お稲荷さんへのお参りをしてから再び来宮神社の参道へ戻って、そのまま横切れば、そこには三峰神社が。お稲荷さんよりもずっとこじんまりとしていて、銅製の鳥居をくぐる手前には小さな側溝があるのですが、そこには橋代わりに木の板が1枚かけられているだけ。そして鳥居の先にあるのも社と言うよりも祠ではありますが、狛狐ならぬ狛狼が控えていましたし、手入れも当然行き届いております。
PB040441.JPGPB040442.JPGPB040444.JPG
 なおこちらのお賽銭箱は白塗りの金属箱で、祠の前ではなく脇に置かれている具合でした。

 そして来宮神社、そのものへのお参りとなります。坂と階段を上りきった先にある拝殿は大きな構えで、また境内に社務所の他に飲食の出来る場所があるのも面白いものです。夏の暑い時期などはお参りした足で、一休みと言うのも乙かもしれません。
PB040449.JPGPB040451.JPG
 なおこの拝殿の右脇には弁財天さんが祭られていますか、左脇へと進むと現れるのが御神木でもある「大楠」。国の天然記念物にも指定され、樹齢は2000余年とされているその大楠は必見でしょう。一体全てを包み込む様な包容力、そんな気配を感じてしまいましたし、周囲が整備されているのでぐるりと一周してしまえたものでした。
 また大楠の裏側には川があり、これは先ほど交差点の行で取り上げた鳥居の前の川につながるもの。その流れは勾配があるのもあって中々速く、川自体はある程度の整備はされているものの、整備されてから長いのかかなり古びて、石の様にもなっているものですから、まるで天然の沢にいる様な感覚すら抱けます。
PB040456.JPG

 そんな具合で短時間ではありましたが堪能して、来宮神社を後にしたのでした。なお境内には忠魂碑もあり、そこには砲弾も置かれています。
 そしてちょうどやって来た箱根からのバスに乗り込み、熱海駅へと戻ったのでした。今回行きそびれた別のお稲荷さんと丹那トンネルに関わる神社に関してはまたの機会に、来宮神社への再訪と合わせて訪ねたいものです。
PB040460.JPGPB040461.JPGPB040471.JPG
 なお熱海駅に着いたらダイヤが乱れており、当初は乗れないと踏んでいた列車に乗れた上に、そのまま小田原で湘南新宿ラインの高崎行に乗り継げたのは幸いな事でした。

 写真は特記あるもの以外は全て2011年11月5日撮影。
posted by 冬風 狐 at 03:06| Comment(0) | TrackBack(0) | お稲荷さん探訪録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。